きちんとわかる燃料電池

●産業技術総合研究所 著 ●定価(本体1500円+税)  





新エネルギー技術の本命!
21世紀は「環境とエネルギー」の世紀だ。省エネ技術をつちかい、
世界をリードしてきた日本が、残された重要課題の1つ、
内燃機関(エンジン)の革命・代替えに本格的に取り組み出した。
本命候補である燃料電池の研究開発が、成否のカギを握っている。



産業技術総合研究所 著   著者紹介
きちんとわかる燃料電池
  はじめに
     目次
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新エネルギー技術の本命!
21世紀は「環境とエネルギー」の世紀だ。省エネ技術をつちかい、
世界をリードしてきた日本が、残された重要課題の1つ、
内燃機関(エンジン)の革命・代替えに本格的に取り組み出した。
本命候補である燃料電池の研究開発が、成否のカギを握っている。


  • 四六判  並製
  • 345ページ
  • 定価(本体1500円+税)

  • ■著者紹介

    (第一部のインタビューイを含む)

    第一部
    福田恭子(ふくだ・きょうこ)
    大和田野 芳郎(おおわだの・よしろう)
    安田 和明(やすだ・かずあき)

    第二部
    第一章
    五百蔵勉(いおろい・つとむ)

    第二章、第三章
    谷本一美(たにもと・かずみ)
    宮崎義憲(みやざき・よしのり)

    第四章
    大平 昭博(おおひら・あきひろ)

    第五章
    藤原 直子(ふじわら・なおこ)
    山?眞一(やまざき・しんいち)

    第六章、第七章
    堀田照久(ほりた・てるひさ)

    第六章、第八章
    嘉藤徹(かとう・とおる)

    第九章
    藤代芳伸(ふじしろ・よしのぶ)



    ■目次




    はじめに??燃料電池とは 11 第一部 よりよい燃料電池を求めて――語り手:大和田野芳郎、谷本一美、 宮崎義憲、安田和明、 五百蔵勉、藤原直子、 山?眞一、大平昭博、 堀田照久、嘉藤徹、 藤代芳伸 聞き手:福田恭子 01 三〇年以上の歴史をもつ産総研の燃料電池研究 16 02 実用化に不可欠な劣化メカニズム研究 25 03 溶融炭酸塩形燃料電池での経験を生かして 35 04 固体高分子形燃料電池の課題 45 05 カーボンに替わる触媒担体を探す 53 06 ダイレクト燃料電池の安全な代替燃料を求めて 59 07 白金代替触媒の開発 67 08 視覚化から材料設計へ 73 09 固体酸化物形燃料電池の劣化メカニズム 80 10 トータルシステムの中に燃料電池を位置付ける 90 11 小さくてパワフルな固体酸化物形燃料電池 101 第二部 燃料電池研究の最前線 第一章 なぜ燃料電池なのか 113 地球規模で深刻化するエネルギー・地球環境・経済成長問題 高効率エネルギー変換の重要性/期待が高まる燃料電池 燃料電池の基本原理/熱機関としての制約条件 カルノー効率の制限を受けないから、燃料電池の効率は高い 理想と現実/燃料電池の種類/燃料電池の発電特性 燃料電池の可能性をひらく   産総研の燃料電池研究 135 燃料電池普及に向けた課題/産総研の燃料電池研究 PEFCの研究開発 Part 1  固体高分子形燃料電池(PEFC) 第二章 固体高分子形燃料電池とは 141 固体高分子形燃料電池の歴史/PEFCの原理/PEFCの特徴 固体高分子形燃料電池の構成材料| | @電解質/A電極と触媒の材料 B白金ナノ粒子を担持したカーボン触媒/CMEA 固体高分子形燃料電池のスタック構造/単電池の構成およびセパレータ 固体高分子形燃料電池の特性/固体高分子形燃料電池の耐久性 固体高分子形燃料電池の用途=定置用燃料電池 燃料電池自動車/携帯機器用燃料電池 第三章 劣化機構解明と耐久性の向上 173 劣化機構の解明に向けて/発電特性の低下 PEFC劣化要因とメカニズム/高分子膜/触媒層 イオノマー/ガス拡散層/劣化加速試験法 耐久性向上のための、新材料開発 第四章 高分子電解質膜の分子構造と物質輸送特性 195 燃料電池の中の高分子電解質膜/プロトンが高分子電解質膜の中を移動する仕組み 水の役割を考えて、電解質膜を開発/三つの主要な電解質膜 炭化水素系電解質膜/電解質膜構造解析と特性評価手法 膜形態とプロトン伝導性の関係/プロトン伝導度の比較 電流値分布の解析が教える均一・不均一のチャネル 電解質膜形態とガス透過挙動の関係/ガス透過挙動と自由体積の相関関係 構造解析や物性評価が、高性能の燃料電池を導く 第五章 ダイレクト燃料電池の開発 223 ダイレクト燃料電池とは/ダイレクト燃料電池の問題点と課題 燃料に何を選ぶか?/アスコルビン酸燃料電池 アニオン交換膜形燃料電池/今後の課題   ダイレクト燃料電池用の錯体系アノード触媒 237 ダイレクト燃料電池における新規触媒開発の意義/錯体系アノード触媒の概念 ロジウムポルフィリン触媒の酸性溶液中での活性/燃料電池セルでの結果 アルカリ溶液中での電極触媒活性/今後の課題 Part 2 固体酸化物形燃料電池(SOFC) 第六章 固体酸化物形燃料電池とは 247   固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構成材料 247 空気極/電解質/燃料極/インターコネクト 単セルにおける「オーム損」と「過電圧」   さまざまなセル・スタック形状 254   SOFCの特徴 257 システム構成/開発状況 第七章 セル・スタックの耐久性・信頼性向上のための技術開発 275 耐久性、信頼性と劣化メカニズム/SOFCにおける劣化現象、劣化メカニズム 明らかになった主要な劣化要因/劣化メカニズム解明へのアプローチ (1) 微量不純物との反応による劣化メカニズム (2) 電気化学反応を考慮した劣化現象 (3) 異種構成部材間で起こる元素拡散や組成変化と、それに伴う微構造変化 寿命予測技術の確立に向けて/酸化物イオンの流れを捉えることで劣化を知る 耐久性・信頼性向上とその対策 第八章 高効率SOFCシステムの技術開発 299 さらなる高効率化と温暖化対応/発電効率向上の可能性 SOFC自体の燃料利用率向上/アノード排ガスリサイクル ゼロエミッションSOFCシステムと分散型炭酸ガス貯留の可能性 CO2フリーエネルギーネットワークシステムへ 第九章 急速起動可能な高性能マイクロSOFC集積技術 317 「マイクロSOFC技術」の意義/シャープペンシルの芯のように細い燃料電池 マイクロ燃料電池の製造技術と課題/ジルコニア系電解質での低温化 ジルコニア系電解質で、電極などを最適化/ハニカム型マイクロSOFC 実用化を目指して 著者紹介 337 参考文献 345


    まえがき



    はじめに??燃料電池とは



     人類が直面する最大の課題は、地球環境の保全、エネルギーの安定的供給、経済成
    長という三つの問題を、いかに整合性をもって進めていくかにある、と言っても過言
    ではないだろう。実はこれらは互いに相反する要素を持っており、「トリレンマ問題」
    とも呼ばれる。
     特にエネルギー問題を考えた場合、化石資源に頼らない低CO2排出量のエネルギー源
    を増やしていくことはもちろんであるが、エネルギーをできる限り有効に利用するこ
    と、つまり高い効率で変換して利用することが不可欠である。これを日本では「省エ
    ネ」と呼び、三〇年以上、そのための技術開発を進めてきた(第二部第一章を参照)。
     そうした流れの中で、いま、内燃機関が支配してきた領域がターゲットになってい
    るように見える。エンジンの方でもすでにハイブリッド車などが登場しているが、
    さらにその先の技術として、電気自動車や燃料電池車が注目されているわけだ。それ
    は、クリーンでかつ究極の高効率化をめざす技術とも言える。本書では、その一つ、
    燃料電池技術の現状と課題を紹介する。
     燃料電池は「エネファーム」としてすでに実用化されているし、公道を走る乗用車
    としても実現している。しかし、それをさらに多くの一般の人々が利用できるように
    するには、なお、多くの課題が残されている。そのための研究開発、技術開発の現状
    と展望を伝えるのが、本書の目的である。

     燃料電池は、「電池」の名前がついているが、蓄電池(バッテリー)のように電気
    を貯められるものでなく、燃料を与えると発電する“小型発電所”と考えるとわかりや
    すい。
     では、与える燃料は何か。外部から水素と酸素を与える。そうすると水と電気が生
    成される。これは、中学校や高校の化学実験でやった、あの「水の電気分解」の逆の
    反応である。水の電気分解では、たとえば電解液に水酸化ナトリウム水溶液を使った
    場合、電極を入れ電圧をかけると、マイナス極側からは水素が発生し、プラス極側か
    らは酸素が発生する。
    燃料電池の場合はこの逆である。つまり、水素を供給する方の電極である燃料極(ア
    ノード)と、酸素または空気を供給する方の電極である空気極(カソード)において、
    それぞれ次の反応が起きる。
      燃料極
       H2→2H++2e-
      空気極
       1/2 O2+2H++2e-→H2O
      よって、全体で
       H2+ 1/2 O2→H2O
     燃料電池では、燃料極と空気極が電解質をサンドイッチのようにはさんでいて、三
    層構造になっている。サンドイッチの具の部分に相当する電解質は、イオンのみを通
    す。サンドイッチのパンに相当する燃料極と空気極には、ガス(気体)が通れるくら
    いの穴が開いている。
    これで電気化学反応によって直接、電気エネルギーを取り出すことができる。ざっく
    り言うと、従来の化石燃料による発電に比べて、環境負荷が低く、発電効率が高い
    (発電効率とは、発電する際に投入した燃料が本来持っているエネルギーのうち、ど
    のくらい電気に変換できたかを示す割合)。
     燃料電池は、小規模でも高い発電効率が期待できるだけでなく、熱も温水などで利
    用すればさらに高い総合変換効率が実現できる。しかし、もっともっと広く利用され
    るようにするためには、多くの課題があるし、また、技術開発の余地も多く残されて
    いる。

     以下の第一部では、本書全体の導入として、燃料電池の実用化に向けて産業技術総
    合研究所(以下、産総研)がどのような取り組みを続けて来たか、いま何に取り組ん
    でいるかを、課題を含めて研究・開発の現場から語ってもらった。
     燃料電池には、使われる電解質によってさまざまな種類がある。現在、実用化され
    ている、あるいは実用化に向けての研究開発が進んでいるものとしては、以下の四種
    類が代表的である。すなわち、固体高分子形燃料電池(PEFC: Polymer Electro-
    lyte Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC: Phosphoric Acid Fuel
    Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC: Molten Carbonate Fuel Cell)、固
    体酸化物形燃料電池(SOFC: Solid Oxide Fuel Cell)。
    このうち、PEFCとPAFCが、動作温度が低温であるため「低温型」と呼ばれ、
    MCFCとSOFCは動作温度が高温であるため「高温型」と呼ばれている。
     産総研が現在、主たる研究対象としているのは、PEFCとSOFCである。その
    具体的な研究内容を、第二部で多岐にわたって詳しく紹介している。Part 1
    (第二章〜第五章)は固体高分子形燃料電池(PEFC)について、Part 2(第
    六章〜第九章)は固体酸化物形燃料電池(SOFC)についてである。
    著者
      二〇一一年三月



     




















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